使いやすいUSBメモリ丸ごと暗号化「USBのセキュリティ」

万一USBメモリを落としたり盗まれたりしたら内部のデータを盗まれてしまう……ということで内部データを暗号化するツールは数多いが、リリースされたばかりの国産ツール「USBのセキュリティ」は、特に導入の簡単さや使い勝手の面で「決定版」と言えるツールかもしれない。

「USBのセキュリティ」は、USBメモリ内のデータを暗号化して持ち運ぶためのツール。特徴的なのは、使い終わった後の操作だ。通常、暗号化ツールは、ファイルを使うために暗号化を解除→ファイルを利用→使い終わったら再度暗号化、という手順で使うのだが、これは、特に初心者にとって「穴」となり得る要素だ。つまり、「使い終わった後の再暗号化」を忘れた時に限ってUSBメモリを紛失し、内部データを盗まれてしまう危険性があるのだ。現実的に考えて、忙しいから再暗号化を忘れ、そして忙しいから紛失するという事があり得る訳で、あまり無視できる可能性ではない。

詳細な説明は割愛するが、「USBのセキュリティ」では、上記の再暗号化処理が必要ない。暗号化解除→ファイル利用後、普通に「安全な取り外し」を行えばOK。その時点で内部データは暗号化されており、つまり、そのUSBメモリを次にマシンに接続した時にはパスワードを求められる。パスワードが漏れない限り内部データを覗かれる心配がないのだ（分かる人向けに書くとTrueCrypt的な動作なのだが、導入の手間が圧倒的にラク）。

「ちょっとした差」ではあるのだが、この差は非常に大きい。暗号化なしでUSBメモリを使っている人はもちろん、再暗号化が必要な暗号化ツールを使っている人にも、「USBのセキュリティ」をオススメする。

「USBのセキュリティ」を作者のページからダウンロードしてインストールし、USBメモリをマシンに接続した状態で起動。

USBメモリのドライブを選択して「インストール」をクリック。メモリ内データが一度全て消えるのでHDD内などに避難させ、パスワードを設定して「OK」。

マイコンピュータを開いてみよう。USBメモリのアイコンが変化しているはず。USBメモリの自動起動メニューやドライブ右クリックメニュー「USBメモリのセキュリティを解除する」、もしくはUSBメモリ内「UsbEnter.exe」実行でパスワード入力ウインドウを表示させ、先ほど設定したパスワードを入力。

中級者向け補足：意味が分からない人は二つ後まで飛ばして構わないが、USBメモリのフォーマットはこの時点でFATになっている。FAT32化したい場合は、パスワード入力を行い、マイコンピュータ上でのUSBメモリアイコンが元に戻ったのを確認してから右クリック「フォーマット」でFAT32フォーマットを行う。この作業によって「USBのセキュリティ」プログラムが消えるという事はない。

中級者向け補足：↑の意味は分かったがこの意味は分からない、という場合は飛ばして構わないが、上記で行ったフォーマットは、あくまでデータ用領域に対するフォーマットとなり、USBメモリ全体のフォーマットにはならない。従って、例えばボリュームラベルを設定した場合、それは「暗号化を解除した後のボリュームラベル」であり、「暗号化状態でのボリュームラベル」ではない。

……ともあれ、暗号化が解除されていれば、USBメモリを通常と同様に利用できる。ファイルをドラッグ＆ドロップでコピーしたりダブルクリックで開いたり……といった全ての操作が、暗号化の行われていない通常のUSBメモリと同じだ。

使い終わったら普通に「安全な取り外し」を行えばよい。特殊な再暗号化処理などを行う必要が一切無いのだ。次に同じマシン、もしくは別のマシン（にはツール本体インストールは必要ないのでネットカフェなどのPCでもOK）にUSBメモリを接続した時には暗号化状態となっており、上記と同じ方法でパスワード入力画面を呼び出し、パスワードを入力することで暗号化が解除される。