ココに注目!アップルが発表した新iPodシリーズの3つのツボ
9月10日のアップルのイベント 「It's only rock and roll」では、グレードアップした新しいiPodシリーズがお目見えした。細部の機能追加が多いため見落とされがちだが、中にはiPodシリーズの今後を占う上で重要な改定もあった。3つのポイントに絞って解説していくぞ。
今回のイベントでは、各種iPod製品の機能追加や価格改定など、細かい変更点が非常に多かったが、特に重要なのは、「iPod nanoの動画カメラ搭載」「iPod touchの値下げ」「iTunes LP/Extras」の3点だ。
・iPod nanoの動画カメラ搭載
新型のiPod nanoには動画カメラとマイクが搭載された。iPod nanoはコンテンツの再生用デバイスとしては完成されている製品だが、アップルはnanoにも上位モデルと同様、再生用デバイスに留まらない多彩な機能を盛り込んでいく方針のようだ。iPod nanoは8Gバイトモデルが1万4800円、16Gバイトモデルが1万7800円と普及価格帯にある。ギガクラスの大容量なので携帯電話と違って録画時間を気にすることもなく撮影できるだろう。なお、写真ではなく「動画」の撮影機能であり、動画のワンシーンを切り取って写真にすることはできるが、最初から写真として撮影することはできない。
・iPod touchの値下げ
発表以降、価格を下げ続けているiPod touchだが、今回8Gバイトモデルが2万円を切る1万9800円に価格改定された(32Gバイトモデルは2万9800円、64Gバイトモデルは3万9800円)。iPod touchがほかのiPodシリーズと異なるのは、iPhone OSを搭載する実質的なモバイル機器であるということ。無線LAN環境がないとネットには接続できないとはいえ、多くのiPhoneアプリが利用可能で、iPhone OSのアップデートも行える。もちろん最近熱い注目を集めているゲームもプレイ可能。言わば「月額料金を払わずに大半の機能が使えるスタンドアローン型iPhone」であり、それが2万円を切ったことで新たに食指を動かす消費者も多いはずだ。
・iTunes LP/Extras
iTunesStoreに新たに追加されたサービスで、iTunesStoreで販売されているアルバムに、歌詞や画像、映像などの特典が追加される。iTunesStoreでのアルバムの売り上げは芳しくなく、特にレンタル店が発達している日本では、iTunesStoreでアルバムを購入するよりもレンタルした方が安価になるという事情がある。しかし、iTunesStoreがレンタル以上の付加価値を加えてアルバムを販売するとなると事情は変わってくる。今後さらにiPodで快適に楽しめるようダウンロードのコンテンツが強化・最適化されれば、ダウンロード販売がレンタルより優位になる可能性も見えてくる。
なお、事前の予想通り、スティーブ・ジョブズの肝入りで開発が進められているという電子ブックの発表は行われなかった。iPhoneとiPodシリーズをリニューアルし、新しいOSX(Snow Leopard)も発表したことで足場固めは済んだはず。アップルファンを焦らしてやまない「アップル版Kindle」が登場するのは、今年のクリスマス商戦となるのだろうか。