来年はSBと契約せずにiPhoneを使える?/SIMロック解除とは

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大晦日以降は、Softbankと契約を行うことなくiPhoneを利用できるようになるかもしれない。Apple非公認のiPhoneハックチームiPhone Dev Teamが、大晦日にiPhone 3GのSIMロック解除ツールのリリースを行うと予告しているからだ。そもそも国内では「SIMロック」自体があまり有名ではないので、初心者向けの解説を行う。

iPhone3GのSIMロック解除ツールが大晦日にリリースされるという旨は、「Dev-Team Blog - 'Tis the Season to be Jolly! - yellowsn0w」で伝えられている。以下、「そもそもSIMロックって何だっけ」という段階から話を始める。

□1:携帯キャリアと電話ハードウェアの関係

本来、3Gの携帯電話本体と、携帯キャリア(Docomo,Softbank……)は分離している。携帯電話本体は、キャリアと無関係なタダのハードウェア。「キャリアと契約を行う」ということは、「SIMカード」という識別装置(バッテリー付近に挿しているはず)を受け取り、そのキャリアのネットワークに接続する権利を買うということだ。従って、原理的に言えば、例えば今F906iを、Docomoと契約して利用している人が、Softbankに乗り換えを行い、Softbankの回線(電話番号)でF906iを利用する事が可能……であったとしても、別におかしいことではない。

iPhoneSIMunlock_02.jpg3Gネットワークに接続できるハードウェアに、特定キャリアのネットワークへ特定電話番号で接続するための識別装置SIMカードを挿すことで、一般的な携帯電話は機能している訳だ。

□2:SIMロックとは

もちろん、現実的には上記のような乗り換えは不可能だ。何故かというと、国内で販売されている携帯電話には、基本的に全て「SIMロック」という制限が加えられているから。Docomoキャリアの元で売られている携帯電話、例えばF906iには、「DocomoのSIMカードが挿されている時にしか動作しない」というような制限が加えられているのだ。

逆に言えば、DocomoのSIMカードさえ持っていれば、F906iでもN906iでも利用できる。例えば新規契約でF906iを買い、その後個人売買でN906iをハードウェアだけ購入した場合、SIMカードの入れ替えを行う事で「今日はF906i、明日はN906iを持って会社に行こう」といった使い方が可能なのだ。……この例は意味不明だが、例えば「機種変更で最新機種をゲットしたけど海外非対応、前の機種はちょっと古いけど海外対応なので、旅行時はSIMカードを入れ替えて持って行こう」というのは現実的に便利なテクだ。

□3:さらに厳しいiPhoneのSIMロック

……と、ここまでがSIMロックの基本なのだが、iPhoneの場合は、もっと制限が厳しい。「SoftbankのSIMカードが挿されている時にしか動作しない」というだけではなく、「SoftbankのiPhone用SIMカードが挿されている時にしか動作しない」という制限なのだ。従って上記のようなSIMカード入れ替えテクも利用不能。現在Softbankの携帯を利用している人がiPhoneに機種変更を行った場合、今使っているSIMカードを返して新たにiPhone用SIMカードを受け取ることになる。今使っている機種は、基本的にもう二度と利用できないのだ。

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iPhone用のSIMカードは、通常のSoftbank用SIMカードと異なる専用カード(参考:せうの日記:iPhone for Windows Vista)。通常のSoftbank携帯で利用しているSIMカードをiPhoneに挿しても動作しない。逆も同じだ。

□4:SIMロック解除とは

このような制限を解除するのが「SIMロック解除」と呼ばれるハックテク。SIMロック処理を行っているチップをスルーさせる、もしくは、単純にスルーしただけでは「ロック解除が行われた!」と検出されるので、エミュレート系のチップと交換する……といったハードウェア改造が中心だが、ソフトウェア的なハックでSIMロック解除を行える機種もある。

iPhone Dev Teamが大晦日のリリースを予告しているiPhone3GのSIMロックフリーは、ソフトウェア的なハック。従って、ハードウェア改造と異なり、専門業者などに委託を行う必要がない。少なくとも操作方法さえ間違わなければ、誰でも利用可能だ。

□5:iPhone Dev TeamのSIMロック解除ツールとは

ただ、現在公開されている情報から読み取れる範囲内で書くと、大晦日にリリースされるツールは、比較的制限が多い。実際にiPhone3Gを持っている人向け説明になってしまうが

  • モデルファームウェア(ベースバンド)のバージョン2.11.07かそれ以前
  • 脱獄済み

のiPhone3Gでしか動作しないようだ。詳細は割愛するが、この制限は実は地味に厳しいので、iPhone3Gの脱獄やベースバンド周りのハックがもう少し進まないと、「誰にでも/どんな環境でも簡単」とは言い難い。「脱獄周りのハックテクも今後進化した場合には誰にでも/どんな環境でも簡単になるかも」という感じだ。

□6:iPhone3Gの本体を手に入れる方法

iPhone3GのSIMロック解除が現実的に可能になった場合、以下のような利用方法が考えられるだろう。

  • 現在Docomoユーザーだが、Softbankとは契約せず(Docomoとの契約を続け)、Docomoの回線や電話番号を利用したままiPhone3Gを使う
  • 現在Softbankの携帯電話を使っているが、iPhone3Gへの機種変更はせず、Softbankの通常SIMカードのままでiPhone3Gを使う

通常の携帯電話ハードとiPhoneを、例えば日によって使い分ける事ができるので価値はある(「週末遊ぶときにiPhoneの各種機能は面白いけど、仕事では正直使い物にならないのでWM系のスマートフォン」でも、それこそ「合コンの日には赤外線通信を使いたいから普通のケータイを持って行く」でも、ここらへんは個人の考え方次第だ)。

ただ、いずれにせよ、iPhone3Gをハードウェアだけ手に入れなければならない。

現実的なのはヤフオクなどの個人売買だろう。「今後の情勢次第」ではあるが、一般論として言えば、「使っていた機種から機種変更を行ったときに古い機種を売る」といったオークションは比較的多く開催されている。iPhone3Gの場合は、海外で購入されたハードも出品されるだろう。

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原稿執筆時の現在も、ヤフオクではiPhone3Gが一台出品されており、現在46,500円。iPhone3Gは、本体の価格が、分割支払の賦払金を考慮に入れると約7万円なので、玉数が増えた場合の中古相場は「7万の何割引きか」という感じになるだろう。

また、iPhoneは、2Gから3Gにしても、あまり大きなハードウェア変更を行っていない(参考:iPhone FAN (^_^)v: iPhone 2G vs 3G スペック徹底比較!!)。「基本的には全iPhoneユーザーが同じように各種アプリを利用できる」という互換性を優先しているようだ。従って、例えば来年、光学ズームの搭載など数少ないポイントのみを変更したニューバージョンのiPhone3G-2(?)が発売されれば、現行のモデルが「中古で結構手に入れやすいハードウェア」となる可能性はある。

執筆:tokix (tokix.net)

2008年12月18日 12時41分
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