大量の放射線を浴びた人体はどうなる?東海村事故からの報告
福島の原発事故により、放射線の被害に敏感にならざるをえない状況だが、大量の放射線を浴びた人間は一体どうなるのだろうか。1999年に起きた東海村JCO臨海事故では、作業員が推定8シーベルト(致死量は6~7シーベルト)もの放射線を浴びた。その治療の経緯がWikipediaに生々しく記載されている……。
人間の放射線の致死量は6~7シーベルトと言われているが、東海村JCO臨海事故では、作業員が推定8万シーベルトもの放射線を浴びて、病院に運ばれている。これは核爆発の爆心地にいたのとほぼ同じ放射線量。これだけの膨大な放射線を一度に浴びた人体には、どのような症状が現れるのだろうか。
Wikipediaの「東海村JCO臨界事故」にある「事故被曝者」の項目では、
被爆した作業員の症状が具体的に記されている。
被爆直後の作業員の身体にはほとんど異常が見られず、治療に当たった医師団も驚くほど元気であったという。しかし、放射線が体内を通過した際に染色体が破壊されたことで、新しい細胞を作る能力が失われており、やがて、皮膚や粘膜の崩壊が始まる。
まず、血液中の白血球が作られなくなり、抵抗力が低下。感染症を防ぐため、治療は無菌室で行われた。医師団は実妹の末梢血幹細胞を移植し、造血機能を復活させようと試みたが、拒絶反応により定着に失敗。皮膚の崩壊が進んで、一日に流出する体液や血液の量が1リットルに及ぶと、手の施しようがない状態になる。
これだけ莫大な放射線を浴びて生存しているケースは世界的に見ても例がなく、医師団も手探りでの治療だったようだ。
詳しくは、「事故被曝者」を参照してもらいたい(リンク先の記述は過去のバージョン。現在のバージョンは編集方針により記述は大幅にカットされている)。
なお、この事故の治療の経過は、新潮社「朽ちていった命―被曝治療83日間の記録」に詳しい。